今回の円高はかなり深刻だと思います。それは単に比較的円が安全というような話ではなく、アメリカドルの終わりの始まりだと思うからです。昨日あたりからのニュースだと、アメリカの長期金利の緩和傾向を受けて、というような論調ですが、私はもっと別の理由があると思っています。
確かにアメリカの長期金利が下がるというのはドルに下落プレッシャーを与えます。何故なら、アメリカは財政赤字と経常赤字両方を抱え、海外からの資金なしには立ち行かないからです。日本の方がGDP比では大きな赤宇を抱えていると言いますが、それとは比較になりません。日本の国債はほとんどが国内で消化されていますが、アメリカの国債は6割以上が海外からの投資です。つまり、ある程度の金利と通貨の安定がなければ資金が入って来ない。利下げはその前提を崩すからです。 しかし、今回のドル安はそれだけではないと思います。背景にカネ余り(=ドルの過剰供給)現象があると私は疑っています。実はアメリカは2006年からM3という指標の発表を止めてしまっています。当局によると「金融政策策定上あまり重要ではないから」ということですが、本当にそうでしょうか?アメリカのマネーサプライは、M1が現金、当座預金、M2がM1+譲渡性の高い預金、M3はM2+高額定期預金、機関投資家のファンド等です。M3の比率はそれまで急激に伸びていて、発表をやめる2005年12月には過去最高の10兆ドル(M3部分は3兆4千億ドル)、全体の34%を占めています。 意図的かどうかはともかく、それまでの傾向からすれば、2006年以降もM3の割合は確実に増えていたでしょう。そして、何よりもその指標が重要だと考えられるのが、その伸びとリーマンショックを引き起こした資産バブルが連動していたと疑われる点です。リーマンショック前夜の2007年に、世界の金融資産は約195兆ドル、世界GDP54兆ドルの約3.6倍にまで膨れています(マッキンゼー調べ)。その主役を演じていたのがアメリカの機関投資家達だと仮定すると、M3も尋常ではない伸びを記録した可能性があります。アメリカがそれを隠し、ドルの供給を増やしていたとすれば、ドルの暴落は必至です。私はそれが今回の円高の背景にあると思っています。日本政府の抱える100兆円もの巨額かつ不必要な外貨準備高は激しい為替リスクに晒されるでしょう。外為特会の埋蔵金なんて吹っ飛ぶどころか、下手をすると積み増しが必要になります。さらに言うなら、その外貨準備で米国債を買って運用している以上、もう戻って来ないと覚悟した方が良さそうです。100兆円がパーになったら誰が責任を取るんでしょう?
by martano
| 2010-08-13 01:48
| 社長のひとりごと
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