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成長戦略タウンミーティング
 昨日、みんなの党の成長戦略タウンミーティングに参加してみました。
 元々、私は江田憲司さんの選挙区在住で、江田さんも店に食べに来てくださったり、私も江田さんの月曜の会に参加してみたり、無所属の頃からその活動には注目していたので、今回の新党結成にも当然関心を持っていました。次々とベンチャー系の候補者を擁立し、この参議院選では一大旋風を巻き起こしそうですが、政治はやはり中身が肝心、その候補者と政策を見極めるべく、マニフェストにない政策論議も聞かれるかと期待して参加してみたわけです。特にこの日のお題目が「成長戦略」ということと、参加者が、今回の参議院選で立候補予定のJ.P.モルガン出身の中西けんじさん、タリーズ創業者の松田公太さん、楽天の小林つかささんということで、金融界、飲食業界、IT業界と、私がまさに身を置いた全ての業界を代表する方々なので、何か面白い話が聞けるかと思って期待して参加したわけです。

 進行は浅尾慶一郎さん。まずは各候補者のバックグラウンドの話。それから、それぞれの業界での、規制が邪魔でビジネスに苦労した話と展開して行きました。どうやら、大きい政府を志向する菅政権へのアンチテーゼとして、それぞれのビジネスの現場からその方向性の間違いを議論しようという筋立てのようです。しかし、各候補者の話は卑近に過ぎるあまり、あまり説得力を持ちませんでした。特に松田氏の消防と保健の縦割り行政の話は、飲食店を開業する人なら誰でも経験していることで、別々の日にそれぞれに合わせて検査を受ければ済む話、一事は万事とは言いながらも、それを政府の大小や成長戦略議論と結びつけるのは無理がありました。それよりも、保証金が3500万円という話から展開した方が面白かったかもしれない。膨大な資産ストックとして日本経済の在り方を歪めた土地の問題に切り込むことになりますから。

 その後に続いた小林氏の話。総務省の迷惑メール防止法が迷惑メール撲滅に役に立たない例を上げ、規制の無力さをアピールするものでした。実は私、この問題の専門家です。氏は恐らくご存知ないでしょうが、総務省次第では、迷惑メールを激減させる方法があるのです。それは送信ドメイン認証という一連の技術の一つで、Sender ID、SPF、DKIMと呼ばれるものです。これらは簡単に言うと、各ドメインについて、その正規の送信サーバーを特定する技術で、実は現在多くのISPや企業がこれに対応済です。では何故迷惑メールが減らないのか?それは、その技術によって不正なメールサーバーからの送信だということを認識しても、それを電気通信事業者がブロックできないからです。技術的にではありません。法律上、それが通信の検閲にあたるからです。解釈次第では、または法令を改正すれば、すぐにでも大手の携帯事業者、プロバイダー事業者がブロックを始め、あっという間に業界中の事業者が雪崩を打って対応に走り、迷惑メールは激減するでしょう。要は規制の方法の問題であって、規制が問題ではないのです。もう少し勉強するか、例を薬事法改正でネットで一部薬品を売れなくなった話に変えた方がいいかもしれませんね。ちなみに日本で迷惑メール撲滅に尽力している業界団体があるのですが、それはJEAGと言います。ここの担当者に話を聞くと、状況がよくわかると思います。

 さて、最後に中西けんじさんの話ですが、氏からもあまり期待した話は聞けませんでした。まあ、振られたお題が、余計な規制がビジネスに悪影響を与える話なので、あのぐらいしか言えないだろうな、とは思いましたが。私が中西さんに若干好意的なのは、すみません、同じJ.P.モルガンの後輩だったからです(笑)。でも、私はわずか5年で椅子を蹴っ飛ばして辞めたのに対し、彼は21年も務め、東京支店の日本人のトップになった人ですから優秀です。その中西さんをしても、あまり実りのある議論を展開できなかったのは、そもそも今の世界も含めた経済状況は、政府が大きいとか小さいとか、そんな単純な対立軸では解決できないほど複雑な問題を抱えているということです。特にリーマン・ショック以降、資本が増殖するためだけの強欲資本主義の失敗が明らかになり、アメリカですら金融規制強化に動きつつあります。要は規制の質の問題であって、大小ではない。本質に則った、意味のある規制が必要なのです。

 結局、成長戦略タウンミーティングというお題だったのにもかかわらず、「大きい政府では成長できない、小さな政府を目指すべき」の一本槍で、それ以上私を納得させるような議論は全くされませんでした。そもそも、経済成長って何?という議論から始めて欲しかったです。経済成長とはGDPが前年比プラスになることです。GDPとは、人間で言うと体重のようなものです。成長期にはその伸びが健全な経済と近似であったため、経済指標としては有効でしたが、成熟期になると、構造的に起きる様々な変化、症状を必ずしも反映しません。経済のグローバル化、金融化とインターネットの発達により、世界経済には産業革命以来最大の構造変化が起きており、もっとミクロの視点から細かく政策を立案する必要があります。それなのに、マクロ経済の最も単純化した指標であるGDPの成長を、これもまた一昔前の単純化された規制緩和議論で達成すると言われても、私には10年前の議論にしか聞こえないのです。

 私はこの経済の問題に関しては、しかるべく経験を積んだ専門家集団が政策提言を行うべきだと考えています。特に国際金融で経験を積み、資本を握るハゲタカ共がどう動くか熟知している人たち。また、マクロ理論の失敗を理解し、ミクロの目から経済社会の構造変革を立案できる人たち。今後私は、自分の金融人脈をフルに活用し、同じような危機感を持つ方たちを集め、何らかの実りある議論を進めて行きたいと考えています。たかだかピザ屋のオヤジに何ができるかとお笑いのことでしょうが、もう待ったなしです。共鳴する方はご連絡ください。
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by martano | 2010-06-16 23:46 | 社長のひとりごと
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